夏の夜に灯りをともす -日本人と「明り」の歴史-
2026.08.25

夏の夜、日が暮れて部屋が少しずつ暗くなってくると、部屋の明りをつけると思います。
今では、部屋の照明をスイッチひとつでつけることができますが、電気がなかった時代の人々にとって、夜の暗闇を照らす「灯り」は、今よりずっと身近で大切な存在でした。
日本では古くから、植物の油などを燃料にした「灯明」が使われてきました。
寺院などで仏様に供える灯りとしても用いられ、暗闇を照らすだけでなく、祈りや願いを託すものとして大切にされてきました。
その後、江戸時代~明治時代頃にかけて、蝋燭が庶民の暮らしにも広がっていきます。
蝋燭は持ち運びができ、比較的安定した明りを得られることから、夜の読書や仕事、食事などのさまざまな場面で活躍しました。
昔の人々にとって、夜に明りを灯すということは、単に部屋を明るくするだけではなく、その火を囲うように家族が集まり、会話をし、時にはわずかな明りのもとで手作業をしたり、本を読んだり—-
灯りのある場所が、人が集まる場所になっていたのです。
現代では、夜でも昼と変わらないほど明るい環境で過ごすことができます。
だからこそ、蝋燭の小さな光を眺めていると、どこか懐かしく、落ち着いた気持ちになれるのかもしれません。

夏の終わりの夜、いつもより少しだけ照明を落とし、蝋燭の炎を眺め、秋に近づく音を感じながら静かな夜を過ごしてみるのはいかがでしょうか。
小さな炎の中に、日本人が長い間大切にしてきた「灯りの文化」を感じることができるかもしれません。
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