創業明治十年 東海製蝋
社員語録
[TOP]
2016年04月01日の日記
ドキドキドン一年生
長男がようやく小学校に入学しました。ようやくと言うのは、彼は六年間も幼稚園に通ったからなのです。首が据わり、ようやくちょこんと床に座ることができるようになった頃からですから、初めて先生に子供を手渡した時の妻の気持ちを思うと、たまらないものがあります。
偶にお迎えに行った時に、園舎の窓からそっと覗くと、先生が何人もの赤ちゃんに小さなお匙で離乳食を与えており、まるでツバメの雛のように口を開く我が子を見て、思わず微笑んでしまったことがありました。三六五日、当たり前のように鼻水を垂らし、水疱瘡等たくさんの病気に罹り、泥団子を食べ、年長さんになる頃には、滅多なことでは風邪もひかない健康優良児になりました。
クリーム色のスモックがトレードマークで、クリッとした大きな目と相まって、まるで、てるてる坊主のようでした。二才の時の音楽会では、お友だちのてるてる坊主たちとステージの上で、「キューピーさん」を、カスタネットの演奏付きで歌い、多くの観客から黄色い声援を浴びました。最後のマラソン大会では、ご褒美のレゴブロックを懸けて全力疾走。千二百メートルの距離を、立派に走り切る子供達を見て、胸に迫るものがありました。
卒園が近づくと、日に日に寂しさが募りました。努めてその話題を避け、粛々と毎日を変わらずに過ごす彼の姿に、子供らしい、いじらしさが垣間見られ、何とも切ない気持ちになりました。目を瞑ると思い出は際限なく溢れ出します。
今年の小学校の入学式の日は、富士宮に生まれたことに大きな喜びを感じるような朝でした。きれいな青空に、真っ白い富士山の残雪と、淡いピンク色の桜の花がきれいなコントラストを描いています。ピカピカに光る大きなランドセルを背負い、得意げに玄関を飛び出しました。祖父と祖母にお披露目をするために、私の実家に向かいました。一頻り褒められ、上機嫌なことこの上ない彼は、帰りしなにお仏壇の前に座りました。曽祖父と曾祖母の写真をそれぞれ見つめ、「響」の箱から吟味したローソクを摘み、そっと燭台に挿し、火を点けました。お線香の火をスッと消し、お供えすると、手を合わせ、一瞬目を瞑りました。静寂の中、「ああこの子は何ともしっかりと育ったものだなあ」と感心したのも束の間、いつものようにお鈴を打ち鳴らし、「なむなむなむ・・・ちーん」とお調子に乗り、母親に雷を落とされました。
私も続いてお灯明をお供えし、手を合わせました。彼の曾祖母の写真がいつものように微笑んでいます。彼が誕生した時に、病院に居た曾祖母は、まだおくるみに包まれた彼を抱き、「待望の六代目だねえ」と短く言い、にっこりと笑いました。ローソクの明りが浄化してくれたのか、心がスッと晴れ、ご先祖様に彼のこれまでの無事と幸せに対する感謝の気持ちが湧き出てきました。
広い体育館の中で、小さな子供達が、大きな声で歌っていました。「さーくらさいたら一年生 一人で行けるかな となりに座る子いい子かな ともだちになれるかな だれでも最初は一年生 ドキドキするけどドンと行け ドキドキドン一年生 ドキドキドン一年生」。
何があっても、彼等は全力で生きている。微塵も後悔することの無いように、一瞬一瞬を精一杯に生きている。卒園すれば、入学する。今日が終われば、明日が来る。ドキドキするけどドンと行け!大きな力で、背中を押された気がしました。
2016年04月01日(金)
No.188
(船長)
No.
PASS
OR
AND
スペースで区切って複数指定可能
<<
2016年04月
>>
日
月
火
水
木
金
土
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
2016年04月01日(金)
ドキドキドン一年生
HOME
[Admin]
[TOP]
shiromuku(fs4)DIARY
version 3.44
〒418-0034 静岡県富士宮市黒田355-1 TEL 0544(27)2637 FAX 0544(24)5360