創業明治十年 東海製蝋
社員語録
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2001年08月09日の日記
知らぬは船長ばかりなり
昨年、私達の会社から2つの新製品が発売されました。最後の一滴まで完全燃焼する燭台「もえ」と日本一のミニローソク「光源氏」です。「もえ」は平成7年に特許申請しましたから、両者の開発には8年をかけてきました。以前から、ローソクの穴と燭台の針が合わないためにローソクが割れてしまったり、針の根本まで入らず倒れてしまう危険から不安心な思いがあったりで、消費サイドから安全なお灯明への強い要望がありました。
ローソクと燭台が日本に入ってきたのは遣隋使の頃ですから1400年以上の歴史を持ちながら、この間、メーカー同士で話し合いを持ったことが一度も無かったのは不思議な事実です。それぞれの美意識と効率によって製造を続けてきたのです。私はローソクメーカーとして、これはどうしても解決しなければならない命題でしたから、ローソクの穴に合う針の燭台を作ってもらうべく産地である高岡市へ足繁く通いました。しかし、従来の鋳造法の限界を理由にして「不可能」の返事ばかりでした。
それなら燭台も作ってみよう、と考えざるを得ませんでした。穴に合う細くて長い針の製造は何とかめどが立ちましたが、さらなるマーケットリサーチから「ロウが残らない燭台」への強い要望があることが分かったのです。ローソクメーカーが燭台を作るのは酪農家がトラクターを作るのにも似て挫折の連続でしたが、金属の熱伝導、毛細管現象、表面張力の実験と永い試行錯誤の結果 「最後の一滴を吸い上げて完全燃焼する燭台」の完成に漕ぎ着けることができたのです。
そして、ローソクの製造工程にコンピュータを導入して穴の構造を太く長く全て均一にしました。「光源氏」の身長は25ミリですが、奥行き20ミリの穴が空いています。その穴に合った針を「もえ」に装着しました。これで、針の根元までしっかり入る安全なお灯明が可能になったのです。
しかし、このミニ寸のローソクの発売には躊躇がありました。これまでの半分の容量のローソクの販売によってパイをシュリンクさせてしまうのではないかとの懸念からでした。船長として熟慮すべき時でした。
「安心宣言」と言う切り口で両者をリリースしてから1年、雑誌サライにも紹介され、その読者である消費者から1通の手紙が届きました。「今まではローソクを直ぐに消していましたが、これなら安心して最後までお供えできます」と言う内容です。これは需要家サイドでいかに安全性へのニーズが高かったかを証明するものであり、なんとシュリンクどころかパイの拡大を示唆していました。私は朝礼で少し意気込みながらこの報告をしました。
しかし、営業部員から「僕らは発売当初から、安心して最後まで使えるからローソクの売り上げを増やせます、とセールスト−クしています」との応えが返ってきました。いつの間にか自ら考え自ら行動している、自立したクルー達を目の当たりにしてうれしさがこみ上げてきました。知らぬは船長ばかりだったのです。
2001年08月09日(木)
No.14
(船長)
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