創業明治十年 東海製蝋
社員語録
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2000年12月15日の日記
「宮」オブ「富士」(
ボストンは学生の街だ。郊外まで入れると60もの大学があり、彼らのせいで一帯の平均年齢は26才と一番若い。留学生も世界百カ国以上から来ているが、それらの中には一旦お国の大学を卒業し一流企業や役人として数年の社会生活を送った後に、企業や国から派遣されてMBA(経済学修士)の資格取得に挑戦している若者がいる。そんな彼らと食事をしたり酒を飲んだりする機会が2度ほどあった。
自分の住む市を紹介するにあたり、最初は「富士山が裾から裾まで見える岳麓の美しい町のひとつ…」とか月並みな表現で説明したのだが、2度目の時はサミュエルアダムスの地ビールでだいぶ出来上がっていたせいもあり極めて饒舌、人見知りする子羊の様な生来の性格に反して舌だけが勝手にテークオフしてしまった。
「私の郷土富士宮は富士と宮という二つの言葉で構成され、宮オブ富士という意味です。宮という日本語はシンボル(基)であり、ソース(源)やセンター(真)を表現しています」「そして我々日本人にとって宮とは時にはハート(心)でありゴッド(神)をすら意味する正に聖なる言葉であります」……ここまで来るともう止まらない、止められない。
「君たちが今後もし真の日本文化を勉強するチャンスがあるとすれば、この宮という言葉はどうしても理解しなければ通れないキーワードとなるだろう」……いよいよ絶好調。テンションは高度1万メートルである。
「私はこの町で半世紀以上も富士山を見ながら生活しているが、春は桜、夏は緑、秋の紅葉、そして冬の雪と、日本の四季の移ろいとともに聖なる山が衣替えする姿は限りなく美しく神々しい」……酒を飲みながらも彼らの目つきに明らかな変化が出てきた。間違いなく私の話に興味深く聞き入っている。もう完璧なるマイペース。後は野となれ山となれ。
「わが町はいたる所に泉が涌き出ているが、それは山頂に降った雨が膨大な山塊と40年間の時間という自然のフィルターを経ていま地表に現れたものである。たとえ今晩の私のように酔っぱらっても、翌朝のコップ一杯の湧水が二日酔いを瞬時に解消してしまう。何故ならそれは山の神の授けし世界一の聖水であるからだ」……「エクセレント」と一人が小さく呟き、一人が「ファンタスティック」と舌を鳴らすのが聞こえた。
そしてとうとう「どうだ君たち、私の背後に神なる山のオーラが見えないか?」とやってしまった。今度は全員が「グレィト。ゴッド。ワンダフル」と叫んだ。……俺は我が家のカミさんを差し置いていよいよゴッドになってしまったぞ。
彼らが私のグラスになみなみとビールを注ぎに来て、それを気持ちよく次々と飲み干していったのを最後に、いつしか私の記憶は途絶えてしまいました。
これは泥酔して行方を失ってしまった男のオーマイゴッド物語と笑って読み飛ばしていただければよいのですが、私はこの瓢箪から駒のような「宮オブ富士」という表現が、他国の人に我が富士宮市を短い時間に短い言葉で理解してもらうための切り口としてかなり有効であるとの感触を持ちました。そして世界に冠たる「富士山がある町、富士宮」の市民の一人であることの大きなアイデンティティを心から誇りに感じた次第です。
2000年12月15日(金)
No.6
(船長)
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